妊婦さんに接種するRSウイルス母子免疫ワクチン「アブリスボ」について

妊婦さんに接種するRSウイルス母子免疫ワクチン
アブリスボ」について

(1)RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することによって起きる呼吸器感染症です。感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
RSウイルスは世界中に広く分布しており、ほぼすべての乳幼児が生後2歳までにRSウイルスに感染します。近年は流行期が定まっていません。

日本では、毎年約12万~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、約4分の1(約3 万人)が入院を必要とすると推定されています。
入院発生数は生後 1~2か月がピークとなるため、生後早期から予防策が必要とされています。有効な治療薬はありません。治療は基本的に症状をやわらげる対症療法が中心です。
予防が重要です!

症状は軽い風邪から重い気管支炎や肺炎の症状まで様々ですが、特に生後6か月未満で感染すると重症化することが示されています。その後の気管支喘息との関係性も指摘されています。

<RSウイルス感染症の症状>
・発熱
・鼻水
・強い咳
・ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜいめい)
・呼吸困難

(2)RSウイルス母子免疫ワクチン「アブリスボ」とは?
RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ)が使用できるようになりました。
アブリスボを妊婦さんに接種することで、お母さんの体内で抗体が作られ、その抗体が胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。これにより、赤ちゃんのRSウイルス感染症に対する予防効果が期待されます。

生後数か月の赤ちゃんの免疫機能は未熟なため、ワクチンを赤ちゃんに直接接種しても病原体に対する抗体が作られにくいとされています。2024年4月時点で、RSウイルスワクチンで赤ちゃんに直接接種するものはありません。
(出生後に赤ちゃんにRSウイルスに対する抗体薬を注射してRSウイルスの働きをおさえる予防法はあります)そこで、母子免疫(お母さんの持っている抗体を赤ちゃんが臍帯・胎盤を通じて受け取る)の仕組みを利用したアブリスボが接種できるようになりました。

<補足>
RSウイルスに対する抗体薬(重症化抑制薬):パリビズマブ
適応が基礎疾患がある児や早産児に限定されているため、RSウイルス感染症による入院の大部分を占める基礎疾患のない正期産児には使用することができません

(3)アブリスボ接種の対象と方法
①接種対象
妊娠24週から36週の妊婦さん
②接種方法
0.5mlのワクチンを筋肉内に接種します(筋肉注射)

注) アブリスボを接種している場合は、抗体薬を赤ちゃんに投与することは原則的に行いません。妊娠中にアブリスボを接種した妊婦さんは小児科医師にアブリスボの接種歴の有無を正確にお伝えすることが重要です。
母子手帳の予防接種の記録(5)のその他の予防接種の欄にアブリスボ接種シールを貼ります。お子様が罹患し小児科外来を受診した際は、母子手帳を持参しご提示いただくようにお願いいたします。

アブリスボ接種をお考えの方は、外来にてワクチンについての冊子をお渡ししますのでご一読ください。わからないことや不安に思うことがありましたら、医師にご相談ください。

接種費用:29000円(税込)

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